プレスリリース
プレスリリース
2022年5月23日
世界的な自動車関連サプライヤーであるマレリは、最新のワイヤレス分配バッテリー管理システム (Wireless Distributed Battery Management System: wBMS) によって、電気自動車のバッテリー管理技術を拡充します。このテクノロジーにより、一般的なバッテリー管理システム (Battery Management System: BMS) アーキテクチャでは必要とされている有線での接続が不要になり、電気自動車に求められる重要な要素である柔軟性や効率性、信頼性の向上、コスト削減を実現します。マレリは、このシステムの提供を2022年第2四半期から開始し、2024年からお客さまに導入していただける予定です。
このシステムにより、ワイヤレス技術を用いてバッテリーと制御ユニット間の通信を可能にすることで、デイジーチェーン通信と配線が不要になります。従来の有線分配ソリューションと比較して、マレリが開発した新しいwBMSは、ワイヤーハーネスを90%削減し、バッテリーセルの構築と設置を容易にします。特に、wBMSは組み立ての複雑さを低減し、バッテリーモジュールの配置の柔軟性を高めることができます。
コネクターを取り外すことによる軽量化は、エネルギー効率を更に向上させ、車両の走行距離を伸ばします。また、このシステムにより、バッテリーパックに余裕を持たせることが可能となり、より大きなバッテリーが搭載できるようなるため、汎用性、拡張性、最適化が可能になります。これは、バッテリー容量の増大により、適切な状況において、動力性能の向上と走行距離の伸長をもたらすものです。
マレリのビークルエレクトリフィケーション事業部門でのパワーエレクトロニクス技術責任者であるDr. Razvan Panatiは、以下のように述べています。
「ワイヤレスBMSは、自動車業界にとって真のゲームチェンジャーであり、標準的な有線BMSシステムでのバッテリーハーネス、ワイヤ、およびコネクターを不要にします。」
「マレリは、ワイヤレスBMSと有線BMSの両方を同じ基本アーキテクチャで設計し、2つの異なる通信方法とインターフェイスでサポートしています。これにより、最小限の変更で、マレリの技術を複数の車両プラットフォームに適用することができます。このソリューションの柔軟性により、エンジニアリング・コストの大幅な削減が保証され、マレリはこの高級車向けテクノロジーを、一般市場向けに手頃な価格で提供することができます。」
マレリのワイヤレスBMSは、「センサー・フュージョン」(Sensor Fusion)と呼ばれる独自技術に基づく高度なアルゴリズムを使用する高度なソフトウェアアプリケーションによって提供されます。このアルゴリズムは、各バッテリーセルのいくつかの重要なパラメータ (充電状態、健全状態、電源状態など) を推定して、バッテリー全体の状況をより正確に計算し、それに応じてパワートレインの他のコンポーネントに伝えます。
高度なバッテリー管理システムの開発は、 EVエネルギー管理の複雑なアーキテクチャにおける中核となる高性能な要素であるため、電気自動車設計の根幹となるタスクです。BMSはバッテリーの 「頭脳」 であり、蓄えられた電力とバッテリーの容量を管理して車両にエネルギーを供給し、バッテリーの作動と状態の情報をチェックして提供し、究極的にはバッテリーを監視し、最適化し、保護するものです。
この新しいワイヤレスソリューションに加えて、マレリには、統合的分配BMSアーキテクチャの開発において、長年にわたって蓄積してきた経験があります。これらのソリューションは、マレリの車両エネルギーマネジメントのためのモジュラー技術の完全なポートフォリオの一部です。これには、完全な統合車両エネルギーマネジメントシステムのためのソリューションにいたる、サブシステムだけでない完全なコンポーネントが含まれます。バッテリー管理機能は、実証済みの電動パワートレインとサーマルデザインの知見によって補完され、電気自動車のエネルギーバランスを制御、管理、最適化するための、柔軟でカスタマイズ可能なソリューションを実現するマレリの統合的アプローチをもたらします。
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