プレスリリース

20.04.2021

マレリ、上海モーターショー2021に出展

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2021年4月20日

世界的大手自動車関連サプライヤーのマレリ(本社:埼玉県さいたま市)は、上海モーターショー2021に出展します。業界の大手サプライヤーであったカルソニックカンセイとマニエッティ・マレリの2社が一つの会社として統合し、新たなグローバルブランド「マレリ」を冠した自動車部品関連セクターのリーディングカンパニーへと生まれ変わってから初めての出展となります。4月19日~28日に中国、上海市の展示会場「上海国家会展中心」(the Shanghai National Exhibition and Convention Center)で開催される第19回上海モーターショー(The 19th Shanghai International Automobile Industry Exhibition: Auto Shanghai 2021)に設けられるマレリブース(ホール1.2H、スタンド5BF201)での、当社の最新技術をご紹介します。

統合を経てマレリの活動拠点はさらに広がり、中国においても15都市に22の生産拠点と8つの研究開発センターを置くなど、大きな存在感を確立しています。従業員数6,000名を超えるマレリ中国は、世界中のマレリグループ従業員の約1割を占め、自社事業に加えて9つの現地パートナーシップによる顧客基盤の成長が進んでおり、主要な市場としてさらなる発展が見込まれています。

マレリのCEOであるベダ・ボルゼニウスは次のようにコメントしています。
「中国の自動車産業は、消費者需要の面でも、先進技術の開発や電動化への移行の面でも、世界の他の国々を大きく上回っています。」

「マレリは、中国市場で力強く成長している存在となっています。当社の事業および研究開発拠点に加えて、9つの戦略的パートナーシップにより、中国国内のお客さまだけでなく、中国からのグローバルなお客さまのニーズにもお応えしています。電動パワートレイン、インテリジェントネットワーク接続を目的としたエレクトロニクス、インフォテインメント、HMI、特にADASと自動運転の進化に注力したオートモーティブ・ライティングなどの主要技術分野において、当社は積極的に投資を行っており、さらなる拡大に強くコミットしている地域です。」

マレリの中期戦略「AMBITION(大志)2024」では、中国市場での投資と成長を明確に計画しています。世界最大の自動車市場である中国では、2024年の小型自動車生産台数はおよそ2,850万台(うち約42%が新エネルギー車・ハイブリッド車、約58%が内燃機関車)に達すると予想されています(IHS Markit調べ)。

中国の最新の5カ年計画に盛り込まれた優先課題に則り、マレリは中国市場を見据えテクノロジーソリューションの現地での開発にさらに注力し、同時に雇用の創出とイノベーション目標の実現にも貢献していきます。

現地での成長戦略の一環として、中国国内でのパートナーシップ強化にも取り組んでおり、この枠組みにおける画期的出来事が、2021年1月に完了したマレリとHighly International(上海海立)との合弁会社、ハイリマレリHighly Marelli)の設立です。今後、中国市場を主なターゲットとしながら世界をリードするキャビンコンフォート事業を展開します。ハイリマレリは、お客さまとお取引先向けのコンプレッサー、ヒートポンプ、HVAC(暖房・換気・空調)の電動化およびEDC(電動コンプレッサー)システムに特化した世界トップクラスのソリューション開発に取り組むとともに、マレリにとっては成長著しい中国市場にダイレクトにアクセスする足がかりともなり、今後、電動化技術開発とさらなるシナジー効果の発揮するための投資を強化します。この合弁会社の設立は、乗用車・商用車向けEDCメーカーとして成長を続けていたShanghai Highly New Energy Technology Co., Ltd.(HNET)の株式を2019年にマレリがJohnson Controls-Hitachi Air Conditioning(JCH)から取得したことを機に実現に至ったものです。

カーボンニュートラルに向けての取り組み

中国での優先課題に対応したもう一つの重要な取り組みが、技術開発を通じたカーボンニュートラルへの貢献であり、当社の技術戦略の中核を成す電動化技術がその原動力となります。電動パワートレインと熱マネジメントシステムの両方に強みを持つ独自の立場を活かし、中国市場向け電動化技術の開発と中国での新たなパートナーシップに一層注力します。

この取り組みにおける当社の戦略のベースは、電気自動車の一連のエネルギーフローを効率的にコントロールし、最適化できるソリューションの総合提案です。上海モーターショー2021では、駆動モーター、インバーター、ギアボックスを一体化したe-Axleを含め、電動パワートレイン事業の幅広い製品を展示し、マレリが持つ高度なシステム知識と統合ノウハウ、システムの各構成要素に関する深い知見を披露します。このほか、ステーター、ローター、駆動モーター、インバーター、分散型バッテリーマネジメントシステムもブース内に展示します。

自動車のトータルエネルギーマネジメントや、総合的視点からシステムを提案する「Tier 0.5」の概念のもとで、電動パワートレインは熱マネジメントシステムと一体で考えられています。バッテリーパックや電池と併用され、独自の内部設計に基づく水流・水量制御によって電池の最適温度を保つバッテリーサーマルプレートもその一例です。上海モーターショー2021では、電動パワートレインサーマルシステムに関連する低流量高性能ラジエーターを展示します。電動化向けソリューションに加え、熱マネジメントシステムとしてiTMS(革新的サーマルマネジメントシステム)、室外熱交換器、水冷コンデンサーなどもブース展示します。

カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みにおいては、排気システム事業も大きな鍵を握っています。電気自動車の普及が加速する中でも、実際のところ、排気システムを必要とする内燃機関車とハイブリッド車は、当面の間市場の主流となります。そこで、マレリが長年にわたって培ってきた後処理技術と排ガス抑制技術が中期的に大きな役割を果たします。

グリーン・テクノロジー・システム事業部は、これまでの経験を土台に触媒の早期暖機に有効な新たなガソリンバーナーシステムソリューションを開発しました。触媒の早期活性によって排ガスを低減し、今後導入が見込まれる排ガス規制「China7」(およびEuro 7)にも対応できます。マレリのシステムは世界全体の内燃機関車(純粋なガソリン・ディーゼルエンジン車とハイブリッド車)の排ガス抑制に役立つだけでなく、エンジンコンパートメント内(Close- Coupled)にも排気パイプ出口近く(Underfloor)にも配置でき、最も厳しい環境・温度条件でも稼働します。こうした堅牢かつコンパクトなソリューションによって、1.5秒を切る素早いエンジン始動とエンジン暖機期間の排ガス削減(一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物など)を同時に実現しています。
マレリブースでは、統合型熱回収システムも併せて展示します。

自動運転とオートモーティブ・ライティングのソリューション

マレリの重要なビジネスの柱の一つ、オートモーティブ・ライティング事業部も上海モーターショーで製品展示を行います。マレリ・オートモーティブ・ライティングは、中国内外の大手高級自動車メーカーを含む世界中のお客さまのモデルに幅広く採用されている画期的技術を武器に、ライティング技術全般において業界をリードする立場を確立しています。

最近発表の注目ニュースは、ADAS(先進運転支援システム)と自動運転化技術を支えるレーダーソリューションに関する、中国のWHST(Wuhu SensorTech Intelligent Technology Co., Ltd.)との基本提携契約の締結です。まずは中国市場をターゲットに、将来的には世界のその他地域へと展開範囲を広げます。この契約によってマレリは、ヘッドランプ、リアランプ、スマートグリルに組み込まれる77 GHz・79 GHz帯4Dレーダーアプリケーションに加え、スタンドアロン型コーナーレーダー、長距離レーダー、最新のコックピットレーダー技術を発展させることができます。こうした動きは、自動運転技術の領域、特にセンシング技術に力を注ぐ当社の姿勢を改めて示すものであり、ヘッドランプ、テールランプと自律センサーの統合により自動運転を可能にするSmart Corner™の導入やLiDAR領域における戦略的パートナーシップの構築をはじめ、この数年の活動が一貫して進められている証でもあります。

上海モーターショーでは、オートモーティブ・ライティング事業部から、高い柔軟性によってお客さまのニーズに最も適したソリューションを提供する各種モジュールを展示します。

  • Folia-LED技術を用いたリアランプ用の画素数130万ピクセルの高精細投影システム、h-Digi®をはじめとするハイエンド技術。有機EL照明システムに比べて効率性が高く、外観デザインも柔軟、電子制御によるアニメーション表示も可能です。
  • 2万~4万ピクセルの第2世代高精細照明システム、Micro-LED。大規模市場向けに開発されたこのシステムは、今後2~3年内の量産開始を目指しています。
  • 最後は、LED技術をベースにしたライティングソリューション制御のための主力電子機器。オートモーティブ・ライティング事業部は、単独ECU(エレクトロニックコントロールユニットから中央DCU(ドメインコントロールユニット)へのシフトを後押しし、それに特化したライティングコントロール機能はマレリの照明制御においてすでに重要な役割を担っています。将来に向けた次のステップとして、フロント、リア、車内照明の制御機能を一つのDCUに集約します。

最新のインテリア

マレリブースでは、インテリアエクスペリエンスも注目エリアです。移動空間でのエンドユーザーエクスペリエンスを高めるインテリジェントなインテリア技術を駆使できるマレリは、内装とエレクトロニクス機器の両方に強みを持つ数少ないサプライヤーの一つです。

この技術力の高さの結晶が、内装デザインにおいて高水準の外観と雰囲気を追求した「Smart Surface」ソリューションです。プラスチック素材と美しい皮素材を組み合わせ、HMI(ヒューマン マシンインターフェース)インテグレーションを可能にする最先端エレクトロニクスソリューションを搭載しています。マレリブースでは、半透明HMIまたはライティングとカスタマイズ可能なデザインパネル、ライティングパターンを用いたSmart Surfaceデモ版を展示します。

さらに、「キャビンイノベーション」デモでは、装飾パーツを施した表面にスイッチ、ディスプレイ機能を組み込んだシームレスで美しい仕上がりを披露します。本革または人工皮革、メタル調または木目調装飾などさまざまなバリエーションを可能にし、自動風向調節機能付きエアコン吹き出し口は装飾パーツを組み合わせ、快適さと美しい外観を両立させています。

マレリはエレクトロニクス事業でも市場をリードしており、これは中国国内でも成長著しい分野です。中国はエレクトロニクス技術の重要な技術開発拠点であり、広東省広州には中国市場向けソリューションに特化した研究開発センターが置かれています。

  • 広州の研究開発チームの実績の一つが、次世代インフォテイメントシステムの要となるソリューション、コックピットドメインコントローラーの開発です。コックピットドメインコントローラーは、これまで複数のエレクトロニックコントロールユニットで制御していたインフォテイメントとクラスターデバイスを1カ所で同時にコントロールするECUです。中国市場に初投入され、広州汽車集団(GACモーター)のAion Vに搭載されています。
  • エレクトロニクス事業部は、従来のディスプレイやインストルメントクラスターも進化させています。上海モーターショーでは、マレリ独自のRタッチ接続を組み込み、コックピットドメインコントローラーをベースにドライバーモニタリングシステムと組み合わせた27インチ大型ディスプレイを展示します。

マレリが長年の実績を持つテレマティクス領域においては、上海に本社を持つ中国の大手通信モジュールサプライヤー、Quectel Wireless Solutionsとのパートナーシップを取り上げないわけにはいきません。同社の通信モジュールがマレリのテレマティックボックスに組み込まれています。Quectel社から提供される通信ソリューションはこれ以外にも、4G・5Gテクノロジーからサイバーセキュリティ用ソフトウェア・ハードウェアソリューション、将来のV2X通信プロトコルに至るまで、車載通信システムの機能強化とユーザーエクスペリエンス、安全性の向上を目指すマレリの技術を多面的に支えています。

従来型内燃機関エンジンの効率化

そして、上海モーターショーのマレリブースは、従来型パワートレインなくして完結しません。最大1000 barで稼働する高圧噴射システムをはじめ、性能、燃費、排ガス量を改善するソリューションを展示します。注目は、パワートレインとビークルダイナミクスコントロール(VDC)用マルチドメイン制御モジュール、車両ドメイン制御モジュールです。車両ドメイン制御モジュールはビークルダイナミクスの最適化を目的とした慣性プラットホームにおける画期的ソリューションであり、車両を常に理想的な状態で作動させる先進電子制御を駆使しています。これによって効率性が高まり、燃料消費と排ガスが抑えることができます。このシステムによって、ほぼ全ての機能が一つのコンポーネントに集約され、ECUの数を抑えられます。その結果、スペースが生まれ、軽量化、コスト最適化が可能になり、車両の構造的複雑さが軽減され、さらには性能、快適さ、安全性といった自動車の運転性を向上させることができます。