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2022年9月1日
世界的大手自動車関連サプライヤーであるマレリのモータースポーツ事業部門であり、主要なモータースポーツ選手権向けのハイブリッドシステムや電気システムの開発で豊富な経験を持つマレリ・モータースポーツと、トリノ工科大学のパワーエレクトロニクス・イノベーションセンター(Power Electronics Innovation Center :PEIC)は、電動エンジンを対象としたパワーエレクトロニクス向けの窒化ガリウム (GaN) 技術領域に関する新たな提携を発表しました。このプロジェクトは、マレリとトリノ工科大学の間でのより広範な研究に関するパートナーシップに含まれているものです。
今回の共同研究では、GaN技術をベースとした電動トラクション向けの革新的なマルチレベル900 V高出力インバータの設計と試作を目指しています。
従来にないスイッチング周波数と低スイッチングエネルギーを実現した最先端技術である窒化ガリウムは、優れた効率を維持しながら、受動部品(インダクタ、コンデンサ、変圧器など)の大幅な削減を可能にします。近年、GaN技術は伝導とスイッチング性能の点で急速に進化しており、さらに、横方向GaNデバイスは標準的なシリコンウェハー上で発展するため、そのコス競争力も高いものとなっています。
GaN技術は電力変換器の設計革新に新たな地平を開くものです。この共同研究は、高効率マルチレベルアーキテクチャ、最適かつ堅牢なゲート駆動とデバイスの並列化、高周波および高温のコンデンサ技術、コスト削減のためのPCB (プリント基板) へのコンデンサと半導体の集積化、先進的な冷却ソリューションの面での優位性実現を目指しています。
マレリのモータースポーツ部門を率いるRiccardo De Filippは、次のように述べています。
「トリノ工科大学との提携により、電力変換器に適用される革新的なワイドバンドギャップ技術に関する、より迅速な開発が可能になりました。」
「特に、GaNは、非常に高い電圧および電力レベルにおいても、高周波スイッチングデバイスに関して非常に有望であることが証明されています。この新技術は、自動車電動化市場に明るい未来をもたらすでしょう。」
パワーエレクトロニクス・イノベーションセンター(Power Electronics Innovation Center :PEIC)の会長であるPolitecnico di TorinoのRadu Bojoiは、次のように述べています。
「マレリとの提携は、最先端のデバイス開発に向けての新たなテクノロジーの迅速な適用のための協働に際して、大学と産業界の間で可能となる利点と相乗効果を証明するものです。」
このコンセプト研究は2021年に始まり、現在は試作段階にあり、2022年までに二段階の開発を行う予定です。プロトタイプフェーズに選ばれたGaNコンポーネントサプライヤーは、高電圧自動車用途の窒化ガリウム (GaN) ソリューションの世界的リーダーであるVisIC Technologiesになります。
VisICのCEOであるTamara Bakshtは、次のように述べています。
「VisICのD 3 GaNテクノロジーは、自動車業界の高い信頼性基準のために開発されたもので、RDS (on) あたりの損失が最も低いものとなっています。また、システムソリューションを簡素化し、高効率で手頃な価格のパワートレインソリューションを実現します。それは間違いなく電気自動車の次のステップになります。」
技術を迅速に設計しテストする能力と挑戦的な条件によって、常にイノベーションの最前線にあるモータースポーツの領域を超え、この提携によって開発されたノウハウと技術は、マレリにとって、量産への技術的フローダウンを実現するためにも極めて重要なものとなります。
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